テクノドンのお二人によるハイレゾ事情

常に最新の技術を音楽にとりいれてきたドン達が、ラジオでハイレゾについて語っていたので紹介します。



坂本龍一(坂本):(アナログの名盤は)アナログで聞かないとわかんないですね やっぱり
細野晴臣(細野):ああやっぱりそうなんだ
坂本:アメリカでもアナログは右肩上がり 伸びてるんですよ、このご時勢にね。ぜひ買ってくださいよ ターンテーブル
細野:買おうかなっておもってる どこで売ってんだ?(笑)

坂本:アナログでも デジタルで聞きたいとなるじゃないですか
細野:うん うんうん
坂本:そうするとDSDってのかな DSD録音ってしたことあります?
細野:ああ1bitっていうやつね 意味がわかんないんだけどね(笑)
坂本:確かに音はいいですよ
細野:良いんだ
坂本:むちゃくちゃいいですよ

細野:僕はね最近 音がいいというのに疑問があるんだよね
坂本:あーそかそか
細野:今回(のアルバム)も96KHzでね
坂本:(細野さんから)送ってきたファイルがそうでした ちょっとびっくりしました
細野:ずっとそれ(96KHz)でやってるんだけど はたしてポップスにそんだけのものがいるかな?ってね


坂本:あのね 今の現状を考えると皮肉なことにCDが一番音がいいんですよ。CD無くなる無くなるって、いわれてるのに、何十年も
細野:(笑)
坂本:だから将来的なことを考えるなら、できるだけ高いレートで録音しておくのがいいんだけど
坂本:現状はそれが44.1(KHz)になってしまう...
細野:うん変換してしまう
細野:そこがおもしろいところで。44.1で録ると、そのままCDになるけど (音が)おもしろくないんだよね

坂本:最終的には44.1になるといっても、(ハイレートで)録ってた方がよくなるんだよね
細野:うんうん
細野:でもそこらへんみんな悩んでるよね
坂本:うん悩んでる 。でもどんどん大容量になってコンピューターも速くなっているから、みんな、じゃぶじゃぶじゃぶじゃぶ使ってますよね みんな
細野:使ってる 使ってる(笑)

坂本:今192(KHz)とかでやる人もでてきて
細野:192か~ いや~ 使いにくそうだな~
坂本:さすがに重たいですけどね

細野:(192は)SEにはいいいよ 鳥の声 録ったりね
坂本:ああ そうですね 自然界の音なんかはね いくらきめ細かく(録っ)てもね
細野:自然界はすごいレンジで 際限なく広いから 。ただ音楽にそれが必要かどうかだよね
坂本:うん

坂本:(自然界の音の)空気の粒まで録れるというのが もちろん比喩ですければ DSDというのがね
細野:なるほど~
坂本:それぐらい質感が違うの
細野:ちょっと興味あるけどね~
坂本:でしょ
細野:(笑)
坂本:めんどくさい?(笑)
細野:うん めんどくさい(笑)

坂本:あとDSDの機械がないと聞けないから
細野:なんだ
坂本:汎用性がね

細野:(工程の)ミックスまでは個人的な世界なの
坂本:うんうん
細野:でもマスタリングになると とたんに社会的な耳になるわけ
坂本:わかりますね 。でも僕は(マスタリングでも)切り替わらなくてね

細野:それは芸術家だからだ(笑) 僕は職人だからね 社会的(な耳)なのよ
坂本:う~ん いいですね それは
坂本:わざわざ安い機械を買ってきて それで(音を)チェックします?
細野:いや僕の場合はいつも乗ってる車で それでだめだったら だめなの
坂本:じゃあミックス終わったら車に乗って(笑)
細野:夜中に駐車場の車で 大音量で聞かないとわからないから。2階に母親が住んでるんだけど 降りてくるんだ どうしたの!?どうしたの!?って
坂本:(笑)
細野:だから走らせながら 大音量で聞いて そこで歪まなければOK

坂本:以外とね 細野さん最近の(ビヨンセとか)聞いてんるんですよね~
細野:音のチェックだよ ブリトニーとかはいいんだよね音が(その点)30年代、40年代のは(音楽は)いいんだけど (音は)分析できない。最近のを聞くとわかるんだよ どう処理しているかと
坂本:う~ん なるほど

坂本:アメリカのって音が大きいでしょ
細野:そうなんだよ 詰め込んで 詰め込んで 最近は奥の音を横に持ってきてるんだよね
坂本:そうそう
細野:だからうるさくでしょうがない
坂本:全部鳴ってますからね マスタリングで音量をかせぐというか

坂本:この10年ぐらい そういう競争になってきちゃって
細野:うんうん
坂本:選挙と同じで人より大きな音で それで評価されちゃう
細野:どうなんだろうね?変な習慣だよね
坂本:でも1回やりだしたら 止まらない
細野:うん 止まらない 止まらない

細野:セールスの人たちはみんなやるけど 僕たちはね
坂本:うん
細野:気にしない
坂本:大きくしてもセールス伸びないし(笑)
細野:そう うるさい!っていわれちゃうし
坂本:僕もです