高橋幸宏: ...ONLY WHEN I LAUGH(flac 192kHz/24bit版)

e-onkyo musicで始まっている”ハイレゾ音源”が拡充してきました。昔のようにDRM縛りはなく、また96kHzという低レートではなく、欧米のように24bit192Khzがスタンダードになってきました。ということで、めぼしいものはポツポツ買って楽しんでいますが、

そんな中見つけたのが高橋幸宏「...ONLY WHEN I LAUGH」です。今でいうYMOロスを埋めるべく、メンバーのソロ作品はMUSTで入手していましたが、80年代の雰囲気満載のこの作品はお気に入りです。当時このアルバムはレコード版に比べてCD版は「音が軽いなあ」と思っていましたが、今回のリマスタリングの効果はいかに。

この時期のマスタはもうデジタルが多いので、ちょっとそのあたりも心配です。70年代の幅広アナログマスターテープからのリマスタリングにはかなわないからです。

購入したのはFLACフォーマットで24bit192Khzです。メタデータの充実を期待していましたが、特段なにもないと言っていいでしょう。

一曲目から「ああいい音だ」とおもいます。音数が少ないので、サステイン、リリースで消えていく小さな音が、くっきり聞こえるようになったのがわかります。そしてそのおかげて、ベースの音も音色的には乾いているけど豊かになっています。


この効果は、作品の中でストリングが多用されている4曲目でも抜群です。CD、e-Onkyo版、CDのアップサンプリング版の波形を並べてみました。曲頭の空白部や、ノーマライズのレベルも違うので、まったく同じ個所での比較ではなく、特徴的な個所で並べてみました。

右のアップサンプリングは弱めのディザが入っているので、そのような形になっていますが、今回の波形である真ん中は、アナログテープをベースにしたリマスタリングに似ていい感じです。


ただスペクトラムでみると20Khzを過ぎたあたりでの落ち込みが気になります。これは44.1Khzデジタル録音時に、デジタルひずみを防止するため手前でカットオフしたマスタ音源を、のちにそれ以上のサンプリングレートでアップサンプリングした場合にみられる形に似ています。

このブログでたびたび書いていますが、こうなったときは、Upconvでおもいきって20KHzでばっさり切って、それをマスタにするということもやったりします。これはもうアナログからデジタルへ、そしてまだデジタルが44.1~48KHzが限度だったころの、80年代中盤の音源らしい特徴になるのでしょう。

とはいえちまたに蔓延する、CD音源をマスタとしてアップサンプリングして「ハイレゾ音源です」という偽物とは、もちろんe-onkyoのこの作品は別物です。もっといい音で、大好きな作品を聞き直したいというこのブログのテーマ、目的を実現してくれます。

しかしe-onkyoも他のハイレゾ音源サイトもそうですが、掲載されているすべてのデータが「そう」ではないので、購入前によく説明を読む必要があります。