アップサンプリングツール。市販ソフトではいくつかあるが、最近フリーでは出てこないなーFUSEのソースでも見て勉強するかなーと思っていたら、このブログをみてくださった方からメールで「Upconv」というのがあるよと教えていただきました。ありがとうございます。知りませんでした。レガートリンクコンバージョンのように高域補間するそうです...と聴いて興奮しないわけにはいきません...
SSRC、VC64、FUSEに続く日本発のアップサンプリングソフトのようです。いいですねー。しかもはじめからGUIを揃えてくるとは(これは意外に大変なのです)、とてもすばらしいです。
画面をみるといろいろおもしろそうなパラメータがあります。詳しくはインストール後にc:/Program Files/Upconv/の中にできるUpconv.txtを見て確認する。
1 波形比較
まずはいつものようにWaveLabで波形をみて比較していこう。左がUpconv後のもので、右がその元になったオリジナルのもの。今回はいつもの16bit44.1khzではなく、衛星アナログBモードの16bit48khzをサンプルとして使用している。
平行して引いた2本直線に注目するとよくわかるが、右のオリジナルがその上下の線の間に波が収まっているのに対して、左のUpconv後のものは、そのレンジを越えている。これはFUSE系と同じで、聴感上は音が大きくなって聴こえ、より細やかな音をとらえることができる。
そこでそのFUSEと比較する。右がFUSEのもの。レンジの拡大具合はほぼ同じである。また図を拡大してみるとわかるが細かいところで違いがいくつも確認できる。
2.高域補間
そしてUpconvの目玉である高域補間をみてみよう。いつも使っているWaveLabの周波数解析は20kまでなので、今回はWaveSpectraを使うことにする。
まずは普通のCDの音源(16bit44.1khz)ではどうなるか。
このWaveSpectraで確認しておくと、スペックどおり半分の22.05khz付近で減衰して終っている。ちなみにこの音源は交響曲のもの。
次に衛星アナログ放送Bモード(16bit48khz)を確認してみると、こちらもスペックどおり24khzで終端している。こちらの音源は室内楽の演奏のもの。このサンプルでは22khzを過ぎてからの減衰が目立つ。
最後にUpconvの結果。前の室内楽のソースをUpconvして24bit192khzにしたもの。横軸のスケールはWaveSpectraで指定できる100Kまで広げている。高域の補間モードの指定は、”Overtone=倍音成分を予想して高域に付加”としている。解析地点は同じ。
サンプルに起因する22khz過ぎからの減衰が大きくそれが24khzの終端まで続いているが、そのあと25khzにむけてぴょんと急に上昇している。つまり補間は24khzから先でされていることがわかる。
いろいろなものをみているとこのように20~22khz付近から減衰する音源は多い。このような場合、Upconvにはとてもおもしろい機能があって、この減衰部分をあらかじめばさっと切って、それ以下のものをベースに補間することができる
高域カット周波数に20kを指定してみると、前のものに比べて減衰がなく補間されていることがわかる。特に30kまでのがんばりはすごい。
3.感想と注意
さてさて、実際に聴いてみると(レンジの広いヘッドフォン推奨)澄んだ感じ透明感がすばらしい。他のアップサンプリングツールの出力と比較しながら聴いてみるとよくわかるが、どれがいいとは別に、Upconvも独自の楽しい美しい音になっている。ただ、このUpconvは開発中のものであるのでインストール後に作成される「upconv.txt」をよく読む必要がある。そこには次のように書かれている。
[注意事項]
*開発途中版のためバグがある可能性があります。
そのため、変換終了後のファイルに問題がある可能性があり、
雑音が大音量で再生される可能性がありますので、
変換後最初に聞く場合は、かならず
音声の音量を小さくして再生してください。
これは絶対に守るべきである。かつて(小学生のころだが...)スピーカーをぶっこわしたという経験をしたものにはよくわかる。たかが音とはいえパフッ(こわれたときの音はバン!ではなくこれだった)と簡単に壊せる。
このあたりいまいち危険性を感じない方は下の図をごらんになっていただきたい。これは実際にある市販のCDをUpconv0.0.2でかけた結果である。いろいろテストしていたら遭遇した。明らかにバグによるものだが、これをスピーカーで大音量で流すとどうなるか。考えただけでも恐ろしい...。
正常に処理されるものもあるので必ずこうなるのではない。ただ1つの見分け方として、アップサンプリング後のWavファイルをそのまま聴くのではなく、いったんエンコードでしてみることである。この際にサイズがほとんど変わらなかったり、圧縮率がいつもより極端に悪い場合には危険であると推測ができるので、必ず視聴の前にしていただきたい。
まあこのようなことは開発中のものであるがゆえに起きることである。なによりも高域補間の魅力はそれを超えて大きい。上記の注意をしながらいろいろ試して楽しんでいきたいとおもう。
SSRC、VC64、FUSEに続く日本発のアップサンプリングソフトのようです。いいですねー。しかもはじめからGUIを揃えてくるとは(これは意外に大変なのです)、とてもすばらしいです。
画面をみるといろいろおもしろそうなパラメータがあります。詳しくはインストール後にc:/Program Files/Upconv/の中にできるUpconv.txtを見て確認する。
1 波形比較
まずはいつものようにWaveLabで波形をみて比較していこう。左がUpconv後のもので、右がその元になったオリジナルのもの。今回はいつもの16bit44.1khzではなく、衛星アナログBモードの16bit48khzをサンプルとして使用している。
平行して引いた2本直線に注目するとよくわかるが、右のオリジナルがその上下の線の間に波が収まっているのに対して、左のUpconv後のものは、そのレンジを越えている。これはFUSE系と同じで、聴感上は音が大きくなって聴こえ、より細やかな音をとらえることができる。
そこでそのFUSEと比較する。右がFUSEのもの。レンジの拡大具合はほぼ同じである。また図を拡大してみるとわかるが細かいところで違いがいくつも確認できる。
2.高域補間
そしてUpconvの目玉である高域補間をみてみよう。いつも使っているWaveLabの周波数解析は20kまでなので、今回はWaveSpectraを使うことにする。
まずは普通のCDの音源(16bit44.1khz)ではどうなるか。
このWaveSpectraで確認しておくと、スペックどおり半分の22.05khz付近で減衰して終っている。ちなみにこの音源は交響曲のもの。
次に衛星アナログ放送Bモード(16bit48khz)を確認してみると、こちらもスペックどおり24khzで終端している。こちらの音源は室内楽の演奏のもの。このサンプルでは22khzを過ぎてからの減衰が目立つ。
最後にUpconvの結果。前の室内楽のソースをUpconvして24bit192khzにしたもの。横軸のスケールはWaveSpectraで指定できる100Kまで広げている。高域の補間モードの指定は、”Overtone=倍音成分を予想して高域に付加”としている。解析地点は同じ。
サンプルに起因する22khz過ぎからの減衰が大きくそれが24khzの終端まで続いているが、そのあと25khzにむけてぴょんと急に上昇している。つまり補間は24khzから先でされていることがわかる。
いろいろなものをみているとこのように20~22khz付近から減衰する音源は多い。このような場合、Upconvにはとてもおもしろい機能があって、この減衰部分をあらかじめばさっと切って、それ以下のものをベースに補間することができる
高域カット周波数に20kを指定してみると、前のものに比べて減衰がなく補間されていることがわかる。特に30kまでのがんばりはすごい。
3.感想と注意
さてさて、実際に聴いてみると(レンジの広いヘッドフォン推奨)澄んだ感じ透明感がすばらしい。他のアップサンプリングツールの出力と比較しながら聴いてみるとよくわかるが、どれがいいとは別に、Upconvも独自の楽しい美しい音になっている。ただ、このUpconvは開発中のものであるのでインストール後に作成される「upconv.txt」をよく読む必要がある。そこには次のように書かれている。
[注意事項]
*開発途中版のためバグがある可能性があります。
そのため、変換終了後のファイルに問題がある可能性があり、
雑音が大音量で再生される可能性がありますので、
変換後最初に聞く場合は、かならず
音声の音量を小さくして再生してください。
これは絶対に守るべきである。かつて(小学生のころだが...)スピーカーをぶっこわしたという経験をしたものにはよくわかる。たかが音とはいえパフッ(こわれたときの音はバン!ではなくこれだった)と簡単に壊せる。
このあたりいまいち危険性を感じない方は下の図をごらんになっていただきたい。これは実際にある市販のCDをUpconv0.0.2でかけた結果である。いろいろテストしていたら遭遇した。明らかにバグによるものだが、これをスピーカーで大音量で流すとどうなるか。考えただけでも恐ろしい...。
正常に処理されるものもあるので必ずこうなるのではない。ただ1つの見分け方として、アップサンプリング後のWavファイルをそのまま聴くのではなく、いったんエンコードでしてみることである。この際にサイズがほとんど変わらなかったり、圧縮率がいつもより極端に悪い場合には危険であると推測ができるので、必ず視聴の前にしていただきたい。
まあこのようなことは開発中のものであるがゆえに起きることである。なによりも高域補間の魅力はそれを超えて大きい。上記の注意をしながらいろいろ試して楽しんでいきたいとおもう。