WaveUpConverterでアップサンプリング

 ここで手元に準備された音楽ファイルを整理しておこう。まずCDからロスレスで取り込んだWAVファイルはCDの規格どおり16bit44.1khzである。この場合データは、音は波としてやってくるが、2の16乗の6万5536段階の強度で、また1秒あたり4万4100回(左右計)に分割されて保持されていることになる。
 一方、NHKアナログ衛星方法Bモードから取り出されたファイルは16bit48khzであり、こちらは強度の段階は同じであるが、毎秒あたり4万8000回に分割されてデータが保たれていることになる。
 どちらもなんともすごい精度である。ただCDが登場してから30年弱たった今もまだまだ主流の音楽メディアであるが、その間ビデオがVHSからDVDへそしてブルーレイになろうとしていることを考えると、少し残念ではある。
 さて、さきほどの音楽ファイルを今回アップサンプリングして、強度には8bit分を加え、毎秒あたりの分割数は4倍にしよう。この結果のそれぞれの量子化、サンプリング周波数は次のようになる。

 ・16bit 44.1khz → 24bit 176.4khz
 ・16bit 48.0khz → 24bit 192.0khz


 これを手軽に実現してくれるのが「WaveUpConverter」というツールである。起動するといくつか設定する項目があるが今回次のように設定する。

 ・フィルタップ数:2^[23]+1
 ・ディザ拡散処理:する
 ・アップサンプリング倍率:x4

 このツールを起動して、変換したいWAVファイルをそのウィンドウへドラッグ&ドロップし、「アップサンプリング開始」ボタンをクリックすると処理が開始される。このとき「出力フォルダ」に何も指定しなければ、元のWAVファイルがあったフォルダに、変換後のファイルが作成される。ファイルサイズはほぼ6倍になる

 とっても時間がかかるのでまずは1つ試してみるのがよいだろう。そして出来上がったファイルを聞くと少し音が大きくなったように感じると同時に、じっくり聴くといろいろな発見ができる。音色の豊かさ、なめらかさ、余韻の美しさ、またライブのソースであれば、息遣い、楽器のきしみなど埋もれていた音が聞こえるときがあり、びっくりして楽しい。