r8brainでアップサンプリングする

 これまでWaveUpConverter、FUSE、WaveLab、SSRCとアップサンプリングをしてきたが、今回は「r8brain」を試してみる。r8brainは関連情報が載っているサイト数でみるかぎり欧米ではSSRCと肩を並べて人気があるようである。またこの名前だがおそらく「レイトブレイン(=rate brain)」と読むのだろう。

 下はr8brainのインターフェイスである。ちょっと派手だが、GUIがないFUSEやSSRCと比べればはるかに敷居が低い。すぐに使えるのは大きなメリットである。またアップサンプリングのスピードはSSRCほどではないが速い。


 下はサンプルの16bit44.1khzの波形(左)と24bit176.4khzに変換後の波形(右)である。いつものように右の方がなだらかになっているのがわかる。


 しかし今度はFUSE(デフォルト)の結果の波形(右)と比べると、縦軸のレンジが拡大していないことがわかる。またそのためか同じ24bit176.4khzであっても波形の多くの部分で、特に目立つ山谷での形状は大きく異なっている。


 レンジが拡大していないという点ではSSRCのデフォルトでディザなしの結果と似ている。そこでSSRCの結果(右)と比較してみるが、山谷のピークは同じだが、その波形はほとんど異なっている。


 以上のことからr8brainは、WaveUpConverterを含むFUSE系、SSRC系、とは異なる独自のアップサンプリングツールといえるだろう。強いていうならレンジを拡大しないという意味でSSRCに近いということができるかもしれない。ただSSRCでもレンジ調整のパラメータがあるし、r8brainも有料のr8brain PROもあるので、あくまでもデフォルトでの比較になる。
 なんだいっぱい使えるツールがあるじゃないか。ということでますます重要性を増すのが、リッピングであり、アップサンプリングの元となる元ファイルの保全である。これさえしっかりできていれば、特にお気に入りの曲を、FUSE、SSRC、r8brainでそれぞれアップサンプリングして楽しむもいいとおもう。別に正解はない。実際、それぞれで違いはあるのでけっこう楽しめる。
 とはいいつつも、個人的にはFUSE系、SSRCの高音での音の純度はr8brainと比べてもやはり秀逸だとおもう。r8brainはPROだとまたかわるかもしれないが、それはまた後日評価したい。