Maurizio Pollini ショパン:12の練習曲 作品10・25

 ソースは1972年録音、マウリツィオ・ポリーニによるショパンの24のエチュード。16bit44.1khzリニアPCMでリッピングしたものを24bit176.4khzにアップサンプリング。演奏時間は56分6秒でWavPack後のサイズは1.56GB。

 歳をとってからのポリーニの演奏も好きだが、やっぱりまたこの1枚を聴きに戻ってしまう。なんといっても最初の1曲目はすごい。完璧。完全。の言葉しかおもいつかない。完全からくる美しさ。そして壮大さ。至上の1分56秒。
 当時CDをセットしたとき、2曲目がはじまるまで体が固まってしまった。なんだ今のはともう一度聴きなおす。そしてまた繰り返して聴く。素晴らしい絵をもっと近くでよくみようとするように、細部を注意して聴いて、そして全体を聴きなおす。うーん。ためいきがでる。
 こんなことを10年以上前にしたのだが、アップサンプリングの初期にこのCDをターゲットにしたのは、また同じように耳で追い込んでいけるという期待があったからである。そしてなんども聴いた。全く色あせない素晴らしさがある。
 今回思ったのは、ピアノのタッチである。おそらくだが、このピアノはホロビッツが好んだような跳ね返りが強い鍵ではなく、どちらかというとルービンシュタインが好んだような、指にまとわりつくような腱ではないだろうか。あまりにも速い音の連続なのでピアノのクッションが軽いようにおもっていたが、アップサンプリング後の音を聴くと、一つ一つの音の押し込みがみえるように感じた。