Suzanne Ciani:Seven Waves

 ソースはSuzanne Cianiの最初の作品「Seven Waves」で、CDの16bit44.1khzをアップサンプリングして24bit176.4khzにしたもの。Wavpack後の総サイズは1.2GB。演奏時間は40分。

 深夜になるとFMラジオから流れてくる曲というのは、昼間流れるマーケティングがあって成立する曲とは違い、担当者がそれに縛られずに選んだ曲が多い。その結果、いい音楽が多いのだが、これもそのひとつ。ある夜、午前2時頃だったであろう。このアルバムの中から数曲が流れたのだが、番組は完全BGM状態で曲名もいわずに次の曲に移っていった。
 しばらくたった日のまた深夜、曲のフェードアウトの中で「チアーニ」というのがわずかに流れた。「やった!」以来この曲は、当時定期的に行っていた渋谷の中古レコード屋めぐりでの探索リストの一つに追加された。とはいってもはじまりの「チ」は「ti」かな「ci」かな。そんなこともわからず、アルバム名もわからない手探りだったため、10年以上も入手できなかった。
 経緯は忘れたが、山野楽器の旗艦、銀座店ではそういう系(業界の人が聞くアルバム)を扱っているという情報を聞きお店に行った。しばらく自分で探したが見つけらず、店員に相談した。つづりもアルバム名もわからないんですが...ということもあって、電話をかけてもらったり、二人で棚をかたっぱしから調べたりした結果、なんと、ついに、やっと、なんと、輸入コーナで「ciani」のタイトルの一群を発見。漏れがあるのはいやだったので、とりあえず「その棚のCD全て買います!」
 帰宅してからCDを聴きまくったが耳で覚えている曲がない。しかしどうも他のCDの解説文から、探しているアルバムは「Seven Waves」であることがわかった。
 後日、アメリカでも長らく在庫切れで注文できなかったのだが、Amazon.comで取扱いを開始したためあっけなく手に入れることができた。この探索の過程でこのアルバムと同様インスピレーションあふれる多くの曲を知ることができたこと(間違って買ったものも多いということ)はよかった。
 このアルバムには、タイトルどおり海をテーマにした7曲が収められている。どれもロマンチシズムがあり、アルバムとしても統一感があり、シンセサイザー音楽の傑作だとおもう。なによりも、どのアーティストもそうだが、最初の作品にはインスピレーションが注ぎ込まれるもので、2年をかけて完成させたこのファーストアルバムももちろん例外ではない。
 さて「Seven Waves」ではアナログシンセサイザーが多用されているが、この場合はディザなしでも引き立つ。後のアルバムではcianiも例外ではなくデジタルシンセサイザーを多用していくが、やっぱりこの「Seven Waves」の音はいいねとおもう。