Vangelis: L'Apocalypse Des Animaux

 ソースはヴァンゲリス(Vangelis)の1973年の作品「L'Apocalypse Des Animaux」で、CDの16bit44.1khzをWaveUpConverterアップサンプリングして24bit176.4kHzにしたものと、UpConvにより192KHzにしたもの。Wavpack後の総サイズは176.4KHz版は1.02GBで平均ビットレートは4158kbps、192KHz版は1.32GBで平均ビットレートは5322kbps。演奏時間は35分。
 ヴァンゲリスのサントラ作品には炎のランナーやブレードランナー、南極物語などさまざまな素晴らしいものがあるが、フランスのTVドキュメンタリーのサントラである本作は、 自然賛歌や、詩情あふれる音楽、といったありきたりの評価を超越したものがある。
 この世界が小さな声でしかしはっきりと語っているものを。ヴァンゲリスも言っているが、チャンネルをそこに合わせて、聞き取り、スケッチしたかのよう。彼の真摯に向かい合う様がみえるようで、こちらもその緊張感を感じることができる。音数も最小限に研ぎ澄まされており、間を埋めるための音というものがない。
 6曲目の「世界の創造」から7曲目「海への回帰」にいたっては、 そこにはもう作り手の主張も感じられず、目をみひらいてただ見つめるしかできない、圧倒的なこの世界の存在感がせまってくる素晴らしさ。世界創造のころ。朝靄が立ちのぼる世界は、いかに美しく、満ちた調和の中にあったか。 「そのように神はお造りになったすべてのものをご覧になった。 見よ。それは非常によかった。こうして夕があり、朝があった。第6日」(創世記1:31)

 素朴な音を味わうにはWaveUpConverterのいつものディザなしで。伸びやかな音を楽しむにはUpConvの高域補間を試したい。UpConvの場合はこのソースのスペクトラはCDながらけっこう前、場合によっては20KHzより前で落ち込むので、19.5~20KHzでカットオフしてから補間したい。