ゼビウス 3D/G テクノマニアックス


 ソースは1997年の作品「ゼビウス 3D/G テクノマニアックス」で、CDの16bit44.1KHzをアップサンプリングして24bit192KHzにしたもの。平均ビットレートはWavpack後でも6MBを超えてくる面白いソース。
 このCDは1996年にゲームセンターに登場したゲーム「ゼビウス 3D/G」のリミックス版というかアレンジ版との位置づけになっている。ゲーム音楽には昔から優れたものが多いが、音楽全体の中での評価や位置づけは極めて不当なものである。
 さてこのゲーム「ゼビウス 3D/G」だが、実際にゲームセンターでプレイしたことはない。遊んだこともないゲームの音楽にたどり着いた経緯はもう忘れてしまったが、毎日大量に耳に入ってくるノイズの中に、このようなキラリと鳴る音楽を見つけたときはとても嬉しい。
 たいていアルバム名にテクノと付く音楽にはがっかりするものが多いが、これはちょっとすごい。そもそも「ゼビウス」といえば、1983年にゲームセンターに登場したが、そのBGMはミニマルで神秘的でよかったし、そのリミックス版「スーパーゼビウス 」はなんとあの細野晴臣が監修し、かつ発売が1984年というゲーム音楽のリミックスとしては驚異的な先進性を持っていた。そして続編の本作のリミックスもクオリティーが相当高い。テクノの正統派という風格もあるし、YMOの幻のM16的な抑制された明るさが垣間見えるなど、オマージュも詰め込まれているようにおもう。
 オリジナルのゲーム音楽はどうなっているのだろうかとYoutubeなどでチェックしたが、このCDではところどころオリジナルにはない部分が散りばめられているようだ。しかもそういった部分は通常は曲としては成立しない数秒から十数秒のものである。
 作曲時に不意に訪れるインスピレーションで産まれたフレーズは、商業上3分とか5分という枠組みまで膨らましていく過程でそのピュアさを失っていく。しかしリミックス版ではそのような制限はないのだろう、各フレーズが自由につなぎ合わすことができるので、本来作曲家しか味わえない作曲の楽しみや喜びがこちらにも伝わるようで、インスパイアされているという意味でまさに「神がかって」いる瞬間がところどころにある。そのいつ訪れるかわからない、たった十数秒を楽しむために、時間をかけてアップサンプリングをしてみるのもいいではないだろうか。