進化を続けるアップサンプリングツール Upconv 0.3.3

 前回Upconvについて書いたのは今からちょうど一年前。当時はバージョンは0.0.2、現在は0.3.3が提供されている。登場時にすでにインターフェイスに関しては静的アップサンプリング業界?にあってはトップクラスだったが、今現在はさらに進化して、エンコードやマルチタスク対応などが果たされ、唯一無二のツールの地位を占めつつある。

 Upconvの最大の特徴はなんといっても高域補間であるが、すでに廃盤にされてしまったか、あまりにもマイナーでCDの発売さえされなかった音源をYoutube等で日々探索するわたしにとっては、アップロード時に15KHz~19KHzでカットされてしまったため、カスカスの音になってしまった音をすこしでも”良く”したい望みを叶えてくれるありがたいツールである。

 この高域補間は膨大なマシンパワーを必要とする。しかしマルチタスクにより並列処理が可能になったことにより大幅な短縮が可能になった。また最新のWindows7とCore i7であれば、ハイパースレッドではないコアに適切に割り当てられる(1,3,5,7のコア)ので、時間の短縮がみられる。今後マルチスレッド処理(どのプログラミングパターンでいけばよいのだろうか...)が実装されれば、最新OSとの組み合わせでさらなる改善が期待できる。


 さて前回の記事ではとある不具合について書いたが、残念ながら今回も書いておかなければならない。下の図はある音源をアップサンプリングしたものであるが、演奏時間が短縮されているのがわかる。聞いてみると、DJがターンテーブルでレコードをキュッキュッとクラッチしているような音となっている。

 遭遇したのはこれまでに2回であるが、相当数の音源の中での2回であるので、頻繁におきるものではない。残念ながら遭遇してしまったら、これは開発中のアプリケーションということを思い出そう。もう開発が続けられているフリーのアップサンプリングツールは知る限り世界でもそう多くはない。作者の方には、ぜひまずは自分の楽しみとして、そして暇を見ては開発を進めていってほしい。というのもこれまでに多くの作者が熱くなりすぎて、または使用者からの尊大な意見に疲れて、開発を中止するということをいやというほど見てきたからである。