及川浩治 ピアノ・リサイタル 東京カテドラル

 ソースは2003年12月10日,、東京カテドラル 聖マリア大聖堂での録音。NHK BSクラッシク倶楽部のアナログBモードPCM16bit/48KHzをアップサンプリングして24bit/192KHzにしたもの。

 この番組には思い出がある。出張のためある早朝の成田出発ロビーに1時間前に着いた。 誰もいなくがらんとした中で放送されていたのがこの番組だった。ハイビジョンのテレビが置かれていたが、その前のイスに座ってじっとみることにした。

 しばらくすると、これはBS2では以前、国会中継のために中止になった番組だということに気がついた。 帰宅して再生してみると、予算委員会に変わっていてがっかりしたやつだ。 なるほどハイビジョンでは今日やっているのかとおもいつつ、 汗を流しながら熱演する及川浩治の姿に引き込まれていった。

 そのまま番組最後まで見てしまったらしい、ふと見渡すと、途中でまわりにいた同じ便への搭乗客がいなくなっていた。 ゲートの方をみると、係員もこちらを見ていた。もう出発時間だった。 アナウンスがあったのだが気付かなかったらしい。一方係員はこの便の乗客でないとおもっていたらしい。まずい!死ぬ気でゲートの中に駆け込んでなんとか間に合った。

 帰国後BS2でも振り替え放送があり、またそこで録画することができた。さて空港でもそうおもったのだが、何かいつも番組で聞いているピアノコンサートと違うな。ホールの音響のせいかな。 とおもっていてふと気付いた。カワイのピアノを使っているのだ。コンサートではたいていは必ずといっていいほどスタインウェイのピアノが使われている。 それと比べるとまったく違う音だ。

 最初は違いからくる違和感があったが、慣れてくるとなんて純粋な音がするのだろうとおもった。 一打一打の音が澄んで聞こえる。 それに比べるとスタインウェイのピアノは倍音で、その豊かさで聴かせているのかなとおもう。アップサンプリングでより楽しめる点は他にもある。この大聖堂の音響である。

 このカテドラルの設計者が手がけた他のホールも聴いたことがあるが、残念ながら同じように音響面はあまりよくない。が、NHKの技術がなせる技であろう、映像をみるとマイクをいつもよりY字に開いているのにもかかわらず、定位はそれほどばらばらにならず、ピアノの音はしっかり聴ける。これは生で聴いているよりもいいかもしれない。拍手も遠くの雨音のようにやさしく、いつもの演奏用のホールとは違う音を楽しめる。