Enrico Rava/New York Days

 2009年リリースのエンリコ・ラバのCD(44.1KHz)をアップサンプリングしたもの(176.4KHZ)。サイズはWavPack後で2.11GBで、ビットレートは3.8Mbps。
 この低いビットレートが物語る音の少なさ。しかしこの音と音の間(ま)がどんなに充実しているか。かつてテクノが都会の子守歌であったが、この偉大なジャズミュージシャンによるジャズは、僕の中では電子音やミニマムを使わずとも、その役割を果たす、現代のための音楽である。
 この前の年にリリースされた「Third Man」とセットで聴くのもいい。こちらもビットデートは3.9Mbpsと低い。最初曲の冒頭でピアノがキラキラと降る雨に似て都会に消えていく様と、こちらのオープニングの静かなセッションは、アップサンプリング後はこれ以上はないほど美しくまろやかになって聴く人を招いてくれる。